marble10312007-04-05

この名言は我が心の師の1人、寺田寅彦大先生の言葉といわれてますが、著書中にその言葉はどこにもない。

しかし氏の随筆集の中に『人間も何度同じ災害に会っても決して利口にならぬものであることは歴史が証明する。』という一節があり、また災害についてはかなり多くのコメントを残していますし、恐らく本当に言っているのだと思います。


まったくですね、、最近の能登半島の大地震は誰が予想できたでしょう?
実際、常に我々の住む世界は予期せぬ危機と直面している訳です。

ですから、万が一に備えた対応はとって置くべきですよ。

こう見えても僕、非常用の水とか緊急防災用具一式家に設置してます!わははは

でも、そこではて?と考える。家にいない時災害にあったらどうすんだろ?

意味ねぇ〜〜〜!泣

ま、いつもその危機に怯えて暮らす生活もなんですしね。とりあえず気をつけていきましょう!


話は氏に戻りますが、この方の随筆集は本当に素晴らしいです。作品を読むだけで不思議探偵は廃業です。もっとも開店閉業みたいなもんですが!笑

僕は井上円了南方熊楠も好きですが、一番納得させられるのはこの人の言葉なんですね。

例えば、氏の作品にある「化け物の進化」から抜粋すると

「昔の人は多くの自然界の不可解な現象を化け物の所業として説明した。」

「結局はただ昔の化け物が名前と姿を変えただけの事である。」

「科学が進歩するとともに科学というものの真価が誤解され、買いかぶられた結果として、化け物に対する世人の興味が不正当に希薄になった」

「「ゾッとする事」を知らないような豪傑が、かりに科学者になったとしたら、まずあまりたいした仕事はできそうにも思われない。」

「科学の目的は実に化け物を捜し出す事なのである。」

「神鳴りの正体を鬼だと思った先祖を笑う科学者が、百年後の科学者に同じように笑われないとだれが保証しうるであろう。」

「ほんとうの科学的研究は実はそこから始まるので、前に述べた事はただ問題の構成(フォーミュレーション)であって解決(ソリューション)ではない。またこの現象が多くの実験的数理的研究によって、いくらか詳しくわかったとしたところで、それからさきの問題は無限である。」

「若干の化け物の元素を析出すれば、他の化け物はこれらの化け物元素の異なる化合物として説明されないとも限らない。CとHとOだけの組み合わせで多数の有機物が出るようなものかもしれない。これも一つの空想である。 」

素晴らしい!

物理学者にして随筆家であり俳人でもある氏だからこそ響くこの言葉の説得力と美しさ!
現代人が読んでも断然新しいので、是非お薦めですよ〜!

科学論 (新版 寺田寅彦全集 第I期 第10巻)

科学論 (新版 寺田寅彦全集 第I期 第10巻)

最後に百鬼夜行探偵舎と名付けた真のルーツが氏のお言葉の一節であった事をここでひっそりとバラシときます。わはは

「化け物がないと思うのはかえってほんとうの迷信である。宇宙は永久に怪異に満ちている。あらゆる科学の書物は百鬼夜行絵巻物である。それをひもといてその怪異に戦慄(せんりつ)する心持ちがなくなれば、もう科学は死んでしまうのである。 」